例年1月2日、3日の2日間に亘って行われる、関東学生陸上競技連盟主催の大会「東京箱根間往復大学駅伝競走(略:箱根駅伝)」。
箱根駅伝は大学駅伝の地方大会ながら国内の学生スポーツ競技会の中でもトップクラスの人気を誇り、出雲全日本大学選抜駅伝競走(略:出雲駅伝)、秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権大会(略:全日本大学駅伝)と併せて「大学三大駅伝」と呼ばれています。
第96回となる2020年大会は、前回大会で当時「最強」と呼ばれ史上6校目の箱根駅伝4連覇を達成した青山学院大学を東海大学が下して初の総合優勝を果たした事で、どのチームが勝つか全くわからない激戦必至の戦国駅伝になると予想されていました。
僕的には東海大学が頭一つ有利ながらも、青山学院大学、東洋大学、駒澤大学に加え國學院大学と東京国際大学あたりも絡む混戦になるのではと思っていたのですが・・・
往路優勝は青山学院大学。
選手たちの練習の成果はもちろん、天候に恵まれた事や選手の多くがナイキの厚底シューズ「ヴェイパー」を使用した事も相まって、5区間中4区間で新記録が出るという超ハイペースのレースの中、青学大の選手たちの抜群の安定感が目立ったレースでした。
東洋大・相澤晃選手の2区史上初の5分台、その相澤選手が前回打ち立てた1時間54秒の記録を24秒も更新した青学大・吉田祐也選手、駅伝ファンに大きなインパクトを与えたスーパー1年生の青学大・岸本大紀選手と駒大・田沢廉選手、3区で1時間切りという異次元の走力を見せつけた東京国際大・イエゴン・ヴィンセント選手等、見どころがたくさんありましたね。
「もう走らん!こんなとこ!」(笑)
そして1月3日に行われた復路では東海大学が優勝しましたが、令和最初の箱根駅伝で総合優勝を達成したのは青山学院大学。「やっぱり大作戦」は大成功に終わりました。
「復路は4年生の意地に期待している」という原監督の期待を背負った谷野航平選手や中村友哉選手らの粘りの走りには本当に感動しました。最初で最後の箱根駅伝、最高の走りを見せてくれましたね。
それでは、2020年箱根駅伝に出場した選手たちが着用していたスポーツネックレスを簡単に紹介します。
2020年箱根駅伝選手着用ネックレス
phiten(ファイテン)
スポーツネックレスといえば『phiten(ファイテン)』を想像する人も多いはず。京都府に本社を置く、最も有名なスポーツネックレス製造・販売メーカーのひとつです。
多数のアスリートが着用しているファイテンのネックレスですが、プロ野球やバドミントン、そして長距離を含めた陸上全般の選手には特に人気があり、各界のトップアスリートに愛用されています。
今大会でも駒澤大学や國學院大学を筆頭に、多くのチームの選手が愛用していた最も着用率の高いスポーツネックレスメーカーでした。
独自技術である「水溶化メタル(アクアメタル)技術」を採用したスポーツネックレスを着用する事で「ヒトが本来持っている力を引き出し、身体を本来のリラックス状態に導く」「ストレスや疲労の蓄積で狂った心身のバランスを最良に保つ」効果が期待できると公式サイトに記載されています。
「ヒトが本来持っている力」云々は抽象的であまり好きな文言ではありませんが、薬機法(旧薬事法)により医薬品や医薬部外品、医療機器、化粧品以外の製品は人や動物に対して○○に効くや○○が治るなどの効果や効能を標榜してはいけないと定められている為、医療機器以外のスポーツネックレスはどのメーカーも概ねこのような説明に終始しています。
ただし、アクアメタルについて研究している「アクアメタル研究会」の論文には「神経調節を介した緊張緩和効果や筋・腱機能の回復効果」が期待できると発表されています。
アクアメタル研究会はファイテンが京都府立医科大学に寄付講座(予防健康医学講座)を開設した事をきっかけに発足された研究会なのでメーカー側の意向が全く反映されていないわけではないと思いますが、一定の説得力はあるように感じられますね。
2020年箱根駅伝では、ファイテン最高の技術であるメタックスを採用した「EXTREME PERFORMANCE GEAR(エクストリーム パフォーマンス ギア)シリーズ」の「メタックス クリスタルタッチ」やファイテンの前身「ファイルド」時代からの人気アイテム「水晶ネックレス」、生体親和性が高く金属アレルギーを起こしにくいチタンを使用した「チタンチェーンネックレス」、チタンの表面をスパッタリング加工し、炭化チタンをコーティングした「炭化チタンチェーンネックレス」などを着用する選手が多かったです。
Colan Totte(コラントッテ)
『Colan Totte(コラントッテ)』は健康ネックレスを製造しているメーカーではファイテンと並んで知名度が高く、特に医療機器の認証を受けた磁気ネックレスの分野ではトップクラスのシェアを誇っています。
医療機器として厚生労働省に認められている効果・効能は「着用部位のコリや血行の改善」。
各界の多数のトップアスリートが着用していますが、パフォーマンス向上よりも疲労の回復などのリカバリー・ケア効果を期待しての事だと思います。
コラントッテは青山学院大学とアドバイザリー契約を結んでいるので、同校の選手が多数着用しています。
フラッグシップモデル「TAOネックレスシリーズ」の「AURA(アウラ)」、TAOネックレスシリーズと同じく全周タイプで、磁石粒をそのままネックレスにしたコラントッテ最強スペックの「LUCE(ルーチェ)」などが愛用されているようです。
CHRIO
『CHRIO(クリオ)』は東京都に本社を置く「CSE株式会社」が設立したスポーツ用ケアアイテムのブランドで、「挑む者を、ゾーンへ」のコンセプトの基、スポーツネックレスやブレスレット、ケアアイテム等を販売しています。
卓球やバドミントン、陸上などの選手が愛用しているイメージがあります。
クリオのアイテムには生体の共鳴反応を意味する「バイオレゾナンス」という考え方をベースにした「クリオ加工」というものが施されており、これによってストレスなど崩れた状態を元に戻して本来身体に備わっている免疫力を働かせる効果があるとの事。
以前はクリオの代名詞でもある「インパルスネックレス」を着用する選手がたくさんいましたが、今大会ではステンレス素材のネックレス「マグナネックレス」を着用している選手を確認しました。
SEV(セブ)
『SEV(セブ)』は天然鉱石と数十種類の金属を組み合わせ、電子を発生させる事で対象物を活性化させるという特許技術(物質活性化方法および装置)を使用したアイテムの総称で、東京に本社を置く株式会社ダブリュ・エフ・エヌが販売しています。
ファイテンやコラントッテなどと同じく、比較的古くから健康ネックレスを販売しており、根強いファンがいる人気ブランドです。
SEVも様々な競技のアスリートに使用されていますが、陸上競技や自転車競技、モータースポーツ、バレーボールなどの選手が愛用しているイメージがあります。
ゴルフ選手や野球選手はループ部分のカラーを自分で選べる「セブルーパーtypeM」や「セブルーパー type3G」などを愛用しているイメージがありますが、それ以外の競技の選手はアスリートレーベルのアイテムを好んで着用しており、特に定番アイテムである「メタルレールSi」は人気があるようです。
山登りの5区を走り終え、名言(迷言?)を残した東京国際大・山瀬大成選手が着用していたので気になった人も多いはず。
RETO(レト)
『RETO(レト)』は青山学院大学で“3代目山の神”として駅伝ファンに親しまれたプロランナー・神野大地選手がプロデュースしたスポーツブランドです。
神野選手が使いたいと思えるものを徹底的に追及したというこのスポーツネックレスには、高負荷トレーニングや様々なストレスを受けて酸化傾向になった身体のイオン状態を整える効果が期待できるとの事。
今大会では東京国際大学のランナーたちがこのネックレスを着用していましたが、大会前に神野選手から直接提供されていたようです。
神野大地さんがプロデュースする「RETO」のスポーツネックレスを提供していただきました。
RETO(挑戦)のネックレスを付けて、箱根駅伝シード権獲得に挑戦していきたいと思います。
なんと言ってもデザインがかっこいいです! pic.twitter.com/iZTYuTtUV1— 真船 恭輔 (@RUNmafu1187) 2019年12月12日
エース区間である2区で学生最強ランナーである相澤選手と熾烈なデッドヒートを繰り広げた伊藤達彦選手が着用していたのでよく目立っていましたね。個人的にはこの二人の競い合いが往路で一番面白かった場面でした。
AXF(アクセフ)
『AXF(アクセフ)』は大阪にある株式会社テイコク製薬社と岐阜県に本社を置くサンフォード株式会社が共同で開発したブランドです。
まだ誕生してから数年の新しいブランドではありますが、販売総代理店である株式会社GSLの販促能力も影響し急速に知名度・認知度を上げています。
鉱物や水、温泉水を特定の配合・比率で組み合わせた「集積機能性ミネラル結晶体(略:IFMC.)」という溶出液を含浸した素材を使用する事で様々な効果が期待できるとの事。
AXFが東京都市大学と連携して開設した「ミネラル結晶体研究センター」の研究によって、IFMC.(イフミック)を含浸した素材に触れる事で「一酸化炭素」が産出され、その血管拡張作用により血流促進などの効果が期待できると発表されています。
また、AXFネックレスの大きな特徴に着用する事で体幹やバランスを強化できる事が挙げられますが、これは筋肉や腱の中にあって姿勢や運動の調整に重要な働きをしている筋紡錘や腱紡錘にイフミックが何らかの影響を与えているという説が有力で、メーカーの話では現在も研究を進めているとの事。
現在販売されているネックレスは「AXFカラーバンド」と「AXF×BELGARDシリコンネックレス」ですが、東海大学の両角監督や6区で57分17秒という驚愕の区間新記録を樹立した館澤亨次選手が東海大学仕様のカラーバンドを着用していました。
今大会では着用していませんでしたが、東洋大・相澤選手も前回の第95回箱根駅伝で着用していたブランドです。
以上が2020年箱根駅伝でランナーたちが着用していた主なスポーツネックレスです。
箱根駅伝は正月の風物詩の一つで例年30%程度と非常に高い視聴率を誇っている人気コンテンツなので、スポーツブランドにとっても絶好のプロモーション機会となります。
選手の着用率はそのアイテムを製造・販売しているメーカーの人気のバロメーターともいえるので、今年のスポーツネックレスメーカーはどうなるかと注目していましたが、やっぱりファイテンが強かったですね。
2021年大会ではどのメーカーが覇権を握るのか楽しみにしたいと思います。