お店で健康ネックレスを販売している時、お客さんによく聞かれたのが今回の記事のタイトル『磁気ネックレスとチタンネックレスの違い』でした。
現在、磁気ネックレスやチタンネックレスについて詳細に記載しているサイトは意外と少なくて、ネット上でも間違った知識が散乱している状態です。
例えば、大手商品紹介サイトで磁気ネックレスをおすすめする記事なのにランキング1位に磁気ネックレスではないチタンネックレスを推していたり・・・。
そういうサイトは一文字いくらで雇われた、健康ネックレスの知識もない素人ライターが書いている事がほとんどなので仕方ないのかもしれませんが。
と、いう事で今回は磁気ネックレスとチタンネックレスの違いについて説明してみたいと思います。
磁気ネックレスとは?
画像:コラントッテ公式サイト
磁気ネックレスとはなんぞや?と聞かれた時一番簡単に説明すれば「磁石がついているネックレス」という事になります。
磁石の種類は様々ですが、「フェライト磁石」「サマコバ磁石」「ネオジム磁石」等の永久磁石を使うのが一般的ですね(磁力の強さはネオジム>サマコバ>フェライトの順)。
ネックレスのループ部分に内包されたり、別パーツとしてトップ部分についていたり、メーカーによっていろいろですが、とにかく永久磁石がついているネックレスが磁気ネックレスです。
ですが、磁石がついているネックレスは全て同じというわけではなく、ここから「管理医療機器(医療機器の認証を受けている)の磁気ネックレス」と「それ以外」に分かれます。
管理医療機器の磁気ネックレスは薬機法によって厳しく制限されている人体に対する効果・効能「装着部位のこりおよび血行改善」を謳えるのがその他の磁石を使ったネックレスとは大きく異なります。
正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。
医薬品や医薬部外品、化粧品以外の製品は、人若しくは動物に対して○○に効くや○○が治る等の効果効能を標榜してはいけないという法律。
ただし、管理医療機器の磁気ネックレスだからといってその他の磁石を使ったネックレスより効果が高いわけではない点には注意が必要です。
とはいえ、管理医療機器を製造・販売する場合は厚生労働省が指定した第三者機関の審査を受け、承認・認証を受ける必要がある為、管理医療機器の磁気ネックレスを製造・販売しているようなメーカーはそれ以外に比べてきっちりしているところが多いです。
実際、認証を受けていない磁気ネックレスを販売しているメーカーの商品説明は宗教チックなものやスピリチュアル的なものが多い印象がありますね。肩こりや腰痛の改善を謳う薬機法違反の中国製の安物ネックレスなども当然ながら認証を受けていません。
総合すると、管理医療機器だから効果が高いというわけではないが安心感は高いというのが僕の見解です。
では管理医療機器の磁気ネックレスとそれ以外の磁気ネックレスを見分ける方法ですが・・・
管理医療機器の磁気ネックレスの商品説明には必ず「医療機器認証番号」が記載されているので見分けるのは簡単です。ピップのマグネループなら【222AGBZX00279000】。この長ったらしい番号が医療機器認証番号です。
ネックレスの素材に○○磁石と書いてあるにもかかわらず、この医療機器認証番号が記載されていないネックレスは「管理医療機器ではない、磁石を使ったネックレス」という事になります。覚えておいてくださいね。
管理医療機器の磁気ネックレスを販売しているメーカーで有名なのは「コラントッテ」「ファイテン」「ピップ」「マルタカ・パルス」「TDK」あたりです。
チタンネックレスとは?
次は「チタンネックレス」についてですが、皆さんの頭の中のチタンネックレスと僕の頭の中のチタンネックレスはやや異なっていると思います。
僕の頭の中のチタンネックレスは「金属であるチタン(Ti)を素材にしたネックレス」。
チタンは「強度が高い」「軽い」「耐食性が強い(錆びにくい)」「生体親和性が高い(安全性が高く、金属アレルギーを起こしにくい)」等のメリットを持つ金属。デメリットとしては値段が高い、加工が難しい、若干傷がつきやすい等々。
軽くて錆びにくくて金属アレルギーを起こしにくい点はネックレス(特に水に触れたり汗をかくスポーツ時)には最適ですね。
これが僕のイメージする広義の意味でのチタンネックレスです。
では狭義の意味でのチタンネックレスですが、おそらく皆さんがイメージしているのは健康ネックレス大手「ファイテン社」のチタンネックレスではないでしょうか。
ファイテン社は「チタンチェーンネックレス」や「炭化チタンチェーンネックレス」等、純チタンをそのまま素材にした商品と、定番の「RAKUWAネック」等、独自技術の「水溶化メタル技術」によって生成した「アクアチタン」を素材に含浸した商品を販売しています。
僕の経験上、後者の「RAKUWAネック」をチタンネックレスと呼んでいる人が非常に多かったですね。
広義の意味でのチタンネックレスと狭義の意味でのチタンネックレスがごっちゃになっている人も多いと思いますが、そこで出てくる勘違いが「チタンは体に良くてポジティブな効果がある」という事。
チタンを体に着けると体調が良くなったり、肩こりが楽になったり、体が柔らかくなったり、体幹が強くなってバランスが良くなったりすると思っていませんか。
はっきり言いますが、チタンにそんな効果はありません。
現在、チタンは様々な用途に使われており、身の回りにもたくさん存在します。
ネックレスやブレスレット、指輪等のアクセサリ、眼鏡のフレーム、補聴器、歯を補綴するインレーやクラウン、デンチャー等、皆さんの身近にあるものも多いでしょう。
これら全てにそんな効果があれば物凄い話題になり連日メディアで取り上げられると思います。
チタンは様々なメリットを持つ非常に優秀な金属ではありますが、人体に対して良い効果をもたらしたりはしません。極めて安全という事だけです。間違えないようにしてください。
チタンはイオン化傾向が大きい金属なので生体電流を乱れを治し不快な症状を取り除く、という話を聞いた事がありますが、チタンが生体電流の乱れを治したり病気を治したという論文を見た事がありませんし、チタンは安定した不動態皮膜を作りますから人体に対する影響をほとんど与えないというのが正しいです。
では、ファイテンのチタン系ネックレスの効果についてですが・・・
まず、ファイテンの店長(今のポジションは分かりません)のブログにも「チタン自体には身体の状態を整えるとかの働きはほとんどない」と書いてありました。
素材として「チタン」を使っていますが、一般的に「チタン」が効くというイメージを持っている方もいてると思いますが、実は「チタン」自体には身体の状態を整えるとかの働きはほとんどないんですよ。
「チタン」の特長は軽い・硬い・腐食しにくい等があり、特に「金属アレルギーが無い」ってのが、一番大きな特長です。
例えば、ペースメーカーとか人工関節の素材は実は「チタン」なんです。体の中に入れても安全であるということで利用されています。
もし「チタン」に効き目があるなら例えばチタンフレームのメガネをかければ目が良くなりますか?疲れ目が楽になりますか?ならないですよね。その理屈です。
以前の記事でお話しましたが、ファイテンの商品には全てファイテン社独自の特殊な電気加工を施しています。その加工との相性が良い素材が「チタン」であり、「チタン」の特性として金属アレルギーがほぼ無いという素材の安全性があることから「チタン」を採用しているんです。
ファイテンの加工を施している「チタン」だから働きがあるんですね。
この記事はファイテンの歴史を振り返る内容で、アクアチタンが誕生する前の話だと思われます。当時はアクアチタンがなかったので純チタンに加工を施す事で何かしらの効果を生み出していたのでしょう。ちなみにチタンでも金属アレルギーになる人はいますがニッケルやクロム等に比べると安全です。
普通のチタンは効果がないからファイテンのものを買えという流れになりそうですが、まあこれはあくまでファイテンの言い分なのでファイテンのチタン商品の効果についてはここでは触れません。
ここでは、チタンネックレス大手のファイテンが普通のチタンには効果がないと言っている事が重要ですね。
まとめると、普通のチタンネックレス(広義の意味)には身体にポジティブな効果を与える事はない。ファイテンのチタンネックレス(狭義の意味)は特殊な加工が施されているので普通のチタンネックレスとは違う(ファイテンの主張)という事になります。
ファイテンのアクアチタンネックレスに関しても、チタンを水溶化し素材に含浸してから電気加工を施していると考えてよいかと思います。
僕がメーカーさんに話を聞いたときには(もう何年も前ですが)特殊な加工装置に入れて長時間電気加工を施すとか。今も同じなんでしょうかね。
ファイテンの健康ネックレスは区分分けが複雑
磁気ネックレスは管理医療機器のものとそれ以外のものがあり、見分け方は医療機器認証番号が記載されているかどうか。
チタンネックレスは普通のチタンを使ったネックレスとファイテンのように何かしらの加工をしたネックレスがあり、前者には人体に対するポジティブな効果はなく、後者にはメーカー主張の効果があるかもしれない、というのが今までのまとめです。
磁気ネックレスとチタンネックレスには明確な違いがあり、よほど知識のない人以外は間違うはずもないのですが、myb〇〇t等の影響力のある巨大サイトが誤った情報を発信し、検索サイト大手のグーグルがそのようなサイトを優先的に検索上位に表示させる事で誤った情報が広まっているのが現状です・・・。
多くの人の目に触れる大手サイトの影響力は非常に大きいので本当に注意してもらいたいものですね。
さて、当該巨大サイトが磁気ネックレスの1位に推していたのはフィギュアスケートの羽生結弦選手が愛用している「RAKUWAネックX100 チョッパーモデル」でした。
今はランキングが修正されていますが、このチョッパーモデルは当然ながら磁気ネックレスではなく、アクアチタンを素材に含浸した「狭義の意味でのチタンネックレス」です。
専門家として記事を書く以上、こんなイージーなミスはまずあり得ない事ですが、100歩譲って間違えた原因を考えてみると、ファイテンの商品構成の複雑さに困惑したのかもしれません。
有名なコラントッテは全ての健康ネックレスが医療機器の認証を受けているので全商品が管理医療機器の磁気ネックレスとなります。
ただ、ファイテンの健康ネックレスは大きく分けると「磁気ネックレス+アクアチタンシリカ」「磁気ネックレス+アクアチタンX○○」「アクアチタンX○○」「メタックス」「純チタンチェーン」「水晶ネックレス」という商品群があり、若干複雑。
これまで健康ネックレスを販売していたり、メーカーの方とお話をする機会があれば簡単に理解できる事ではありますが、一般の方には少し難しいかもしれませんね。
それぞれの商品については下の記事で確認してみてください。
まとめ
磁気ネックレスやチタンネックレスの基本的な説明はこんなところです。
健康ネックレスの作用機序については現在でも不明な点が多く、磁気ネックレスとチタンネックレスという大まかなくくりでどちらの方がよく効くか等、体感的な部分を比較する事は難しいでしょう(メーカー毎に主張している効果が違う上、商品数も数えきれないくらい存在しています)。
実際にネックレスを着けて生活し、どの商品が自分に合っているのかを試すしかないと思います(個人差のある商品の口コミはあまり参考にしないほうがいいです)。
ただし、上でも説明したとおり、管理医療機器の磁気ネックレスについては「装着部位のこりおよび血行改善」の効果を謳っているので、肩こりで困っている人は第一選択として試してみるのもよいかと思います。
ネックレスを選ぶ際は、まずそれぞれのメーカーのエントリーモデル(安めの商品)で試して、自分に合っているようならよりスペックの高い商品を購入するという流れがおすすめかなと。ただし、アレルギー等がある人は素材選びは慎重に行ってくださいね。
それと、健康ネックレスは個人差の非常に大きな商品なので全く効かないという事も十分あり得ます。
そんな時、効果だけを目的にデザイン性を考慮せず購入するとただのゴミになってしまいますが、デザインもそこそこ気に入っているものを選んでいればファッションとして着用する事もできますので、自分の気に入ったデザインを選ぶ事も割と重要です。
以上、文章をまとめるのが得意ではないので非常に長くなってしまいましたが、健康ネックレスを購入する際の参考にしていただければ幸いです。