『高橋尚子(たかはし なおこ)』さんは1972年生まれの元陸上選手(女子マラソン)。現在はスポーツキャスターや陸上競技の解説者として活躍されています。愛称は「Q(キュー)ちゃん」。
高校時代から県内では有数の選手でしたが全国大会では結果が残せず、急成長したのは大阪学院大学に入学してからです。
日本学生種目別選手権1500mで優勝し初タイトルを獲得すると、800、1500、3000の3種目で何度も優勝し全国トップクラスの選手にまで成長しました。
その後はさまざまな進路を考えた末、名伯楽・小出義雄監督が率いるリクルートに入社。同じリクルートチームの鈴木博美さんのマラソン優勝を見て本格的にマラソンランナーへの道を歩みはじめます。
積水化学に移籍後は小出監督の厳しい指導のもとマラソンランナーとしてめきめきと成長し、1998年の名古屋国際で日本最高記録を記録してマラソン初優勝を飾り、同年12月のバンコク・アジア大会ではアジア最高記録&大会最高記録を更新して優勝。
そして迎えた2000年のシドニーオリンピックでリディア・シモンとの一騎打ちの末、日本女子陸上初となる金メダルを五輪最高記録を更新して獲得(2時間23分14秒)。34km付近でのサングラス投げからのスパートは今でも記憶に残っています。勝負どころで視界をクリアにし頭をすっきりさせるために外したそうですね。
これらの活躍・功績により同年10月に国民栄誉賞を授与。
翌年のベルリンマラソンでは女子初のサブ20を達成し、2時間19分46秒の世界最高記録で優勝。五輪優勝と世界記録更新を成し遂げ、世界最強ランナーの地位を確立した瞬間でした。
高橋さんが世界と互角以上に戦えた理由は様々ありますが、しっかり食べられることできつい練習に耐えられたこと、空間認識能力や頭の回転が優れていること(小出監督は頭の回転は足の回転の速さに繋がると語っている)、そして何よりメンタル面の異常な強さが挙げられると思います。
そのほか、高橋さんを見出し育てた大阪学院大学の山内武教授は「高橋選手が頂点を極めることができたのは、選手寿命が長続きしたから」と語っています。
高橋選手は、20歳前後まで無理なく体を成熟させたはず。そして、20代中盤で世界レベルのランナーとなり、20代後半で世界の頂点に立った。世界のトップレベルに達するには、本格的なトレーニングを初めてから10年程度はかかる。世界レベルの長距離ランナーの多くは、20代中盤以降に本格的な活躍をしている。
それでは、女子マラソン界のレジェンド・高橋尚子さん愛用のスポーツネックレスを紹介したいと思います。
高橋尚子着用ネックレス
画像:ファイテン
高橋さんは現役時代からスポーツネックレス業界大手「ファイテン社」のアイテムを愛用しています。大学時代には水晶ネックレスを自分で購入したそうですね。
2005年からは2009年までの間は同社と所属契約も結んでおり、非常に関係性が強い間柄です。
チームQを立ち上げ、残りの陸上人生を北京オリンピック出場にかけていく意志、自分が愛用している商品を作っているファイテンに所属企業となっていただきたいというお願い。
頭を丁寧に下げ、全身全霊を込めて私にぶつかってきました。
自分の言葉で誠意を伝えていることが本当にわかりました。これからチームQ高橋尚子と運命を共にしよう。これが私の決断でした。
これまで着用してきたスポーツネックレスは多種多様で、布タイプからシリコンタイプまでたくさんのモデルを着用されています。
RAKUWAネック ワイヤーAir
最近はあまり表舞台に立たれていませんでしたが、2020年の24時間テレビのマラソン企画で『RAKUWAネック ワイヤーAir』の着用を確認しました。カラーはホワイト/ピンクです。
このネックレス最大の特長は、40cmサイズで約2.6gの超軽量設計と金属アレルギーに配慮した素材が使われている事、そしてスマートで洗練されたデザインです。
ネックレスに使われている素材は留め具部分がアルミ、ワイヤー部分はサージカルステンレスにナイロン樹脂をコーティングしたものとなっています。
アルミは比較的安価であることと非常に軽量な点、そして不動態皮膜を形成しやすく金属アレルギーを起こしにくい点が評価され、スポーツネックレスによく使われる素材です。
チタンに比べると不動態皮膜が脆弱ですが、「アルマイト加工」を施しているのでその部分の弱点は克服していると思われます。
アルミニウムは酸素と結びつきやすく、空気に触れていると非常に薄い酸化皮膜を作ります。
この自然に作られる皮膜で保護されているので一般的に錆びにくい、いわゆる耐食性が良いといわれています。
しかし、この皮膜は非常に薄いので、環境によっては化学反応で腐食してしまいます。そのため表面を保護する表面処理、すなわちアルマイトが必要となります。
ワイヤーに使われているサージカルステンレスもおそらくは「SUS316L」等、耐食性の高いオーステナイト系のものが使われていると思われます。その上からナイロン樹脂をコーティングしているのでこの部分でも金属アレルギーへの配慮がうかがい知れますね。
ネックレスの効果については、採用技術が「アクアチタンシリカ」のみなので、ハイパワーと言われているアクアチタンX100やメタックスに比べると弱いですが、着け心地の良さとシンプルなデザインが人気のネックレスです。
首にフィットするサイズを選んで他のスポーツネックレスと重ね付けするとオシャレなので、僕がお店で販売していた時は組み合わせでの着用もおすすめしていました。
購入時にはサイズに注意してください。豊富なカラーバリエーションがありますが、カラーによってサイズがあったりなかったりします。
ファイテンの商品は中国でつくられた偽物(コピー品)が大量に出回っているので、購入時には注意してください。
まとめ
以上が高橋尚子さん愛用のスポーツネックレスです。
現在は世界のトップとの間に大きな差を感じる日本女子マラソンですが、高橋さんの時代は世界に追いつきそして追い越すことができた日本陸上界にとって夢のような時間でした。
当時はいずれ同じような選手がまた出てくるんだろうなと思っていましたが、年を経る毎に高橋さんが圧倒的な人気と実力を兼ね備えた何十年に一人の稀有な存在だったんだということを思い知らされています。
2020年現在の女子マラソン世界記録はケニアのブリジット・コスゲイの2時間14分4秒という途方もない記録ですが、いつかこの記録を破るような日本人選手が現われることを期待したいです。
全盛期の高橋さんや野口さんがナイキの厚底シューズを履けば2時間15分くらいなら狙えそうですね。